今回紹介する本は、田中 泰延さん著『読みたいことを、書けばいい。』です。
カテゴリーとしては「文章術」に入るんだと思いますが、これまでの文章術とは180度違う本。田中さんの文章自体が面白く、堅苦しい感じではなく楽しみながら「なるほど〜」と学べる感じです。
今回はこの本の中から、僕が印象に残った見出しをピックアップしながら紹介していきます。
では、『読みたいことを、書けばいい。』を紹介していきましょう!
目次
僕が『読みたいことを、書けばいい。』を読もうと思ったきっかけ
そもそも、なぜ僕はこの本を読もうと思ったのか。まずはそのきっかけから紹介します。
僕はこの「ぐうの日々もろもろ」を3年ほど運営していくなかで、文章術などを学び、記事に取り入れてきました。その甲斐あってか、アクセス数も伸びていました。
しかし、2019年3月に行われたGoogleのアルゴリズムアップデートにより、それまでのアクセス数が一気にダウン。それからいろいろと対応して、アクセス数は少しずつ戻りつつありますが、3月以前の状態にはなっていません。
このとき考えたのが「Googleに頼らない記事の書き方がないか?」[ちなみにGoogleに頼る書き方はSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)を意識したもの]ということでした。
その書き方を模索していたところ、見つけたのが今回紹介する『読みたいことを、書けばいい。』だったというわけです。
この本をオススメしたい人
この本を特にオススメしたいのは次のような人です。
- 自分らしい文章を書き方に悩んでいる人
- 読んで面白い文章を書きたい人
- SEOを意識するのに疲れた人
- これまでの文章術から脱したい人
『読みたいことを、書けばいい。』 〜 著者紹介
あらためて、今回紹介するのはこちらの本です。
この本の著者である田中 泰延さんは、広告代理店 電通で24年間コピーライター、CMプランナーとして活動されていた方です。
2016年に電通を退社してからは、フリーランスとしてネット上で執筆活動をされています。
コピーライター、CMプランナーで培った文章力は、フリーとなった今でも活かされており、様々なサイトで記事を執筆されています。
また、これまでの経験をもとに「明日のライターゼミ」の講師としてもご活躍されています。
特に印象に残った7つの文章術
とにかくこの本はこれまでの文章術について書かれた本とは異なります。内容を分かりやすく伝える文章やバズりやすい文章などの書き方はまったく書かれていません。(笑)
なので、こういった文章の書き方を求めている人には、この本はふさわしくないでしょう。
でも、自分らしい文章、読んで面白いと思える文章を書きたい人にはうってつけの本です。
ということで、『読みたいことを、書けばいい。』の中から印象に残った見出しをピックアップしながら、この本に書かれていることを紹介していきます!
ネットで読まれている文章の9割は「随筆」
1章の最初の方に登場するこのタイトル。そもそも僕はこのタイトルを見て「随筆」ってなんだっけ?と思ってしまいました。(すみません、国語が苦手だったもので……)
でも、すぐにこの本にその答えが書いてありました。
「事象と心象が交わるところに生まれる文章」
事象とは見聞きしたことや知ったこと。そして、それに触発されて心が動き、書きたくなる気持ちが生まれるのが心象です。
この答えを見ると、まさしくネット上の文章は「随筆」だなと思いました。技術的な説明記事を除いて、ほとんどの記事が何かの出来事に対して自分の目を通した感想などを述べているものです。
そして、この心象を書くことこそが、その文章に個性を産み、他の人が書いた文章との差別化を生むわけですね。
ターゲットなど想定しなくていい
ネットに文章を書く際によく言われるのが「文章を書く前に読者ターゲット層を決めよう!」ということ。
でも、田中さんが言っているのはその逆なんですね。ターゲットを想定するなと。
しかし、ターゲット層を決めるからこそ文章の書き方や書く範囲が決まってくるわけで、このタイトルはどういう意味だろう?と考えてしまいました。
でも、田中さんはこう書いています。
そもそも特定のだれかに言いたいことが「届く」ということが、そんなにあるだろうか。
(中略)
莫大な宣伝費を使うそれらも、結局、テレビや新聞など不特定多数が目にするところに「置かれる」のであり、「届けられる」のではない。
そして、次のようにも。
その文章を最初に読むのは、間違いなく自分だ。自分で読んでおもしろくなければ、書くこと自体が無駄になる。
SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)を意識してネットに文章を書いている人にとっては「何を言っているのだ?」の世界でしょう。
SEOにおもしろさは必要ないと思う人もいるかもしれませんが、自分が書いた文章がおもしろくなければ、それを読む他人はなおさらおもしろくないでしょう。
だから、自分がおもしろいと思える文章を書く。それは読んでくれる他人にとってもきっとおもしろいはず。だからターゲットなど想定しなくていいというわけですね。
だれかがもう書いているなら読み手でいよう
先ほど心象を書くことことが他の人の文章との差別化を生むと書きましたが、結局のところ、世の中には自分と同じ心象を持つ人もいます。人間、1人として同じ人はいないと言えども、何かを感じるポイントが似ている人はたくさんいるでしょう。
この1つ前に「自分が読んでおもしろい文章を書く」ことが大事だと書きましたが、その文章とは次のようなことだと書かれています。
「自分が読んでおもしろい文章」とは、「まだだれも読んでいない文章を自分で作る」ということである。
現代のネット世界では同じような情報が氾濫しているため、「まだだれも読んでいない文章」を見つける方が大変かもしれません。
だから、自分と同じ心象を持っている人がもうすでに自分が伝えたいことを書いているんだったら、読み手でいたほうが楽なのではないかということです。先に書いている人よりもいい文章を書こうと躍起になっても、苦労するだけで自分自身が楽しくないでしょう。
だれかが書いているなら読み手でいるというのは、自分を楽しませる一つの手段かもしれませんね。
承認欲求を満たすのに「書く」は割に合わない
文章を書くからには「たくさんの人に読んでもらいたい」と思うもの。そして、それに対してよいコメントをもらえれば、さらに文章を書こうと意欲がわくものです。それは自分が承認された証かもしれません。
ただ、その承認を求めたいばかりにもっといい文章をと思って書いてみると、意外と読まれることなく終わってしまうこともあるもの。それは、承認が欲しいがために無理して自分がおもしろくない文章を書いているせいかもしれません。
承認欲求を満たすために文章を書くと、自分の気持ちに無理することにもなるし、結局、承認欲求も満たされないでしょう。
であれば、誰かに承認してもらうのではなく、自分を楽しませるために文章を書くほうがいいということですね。
何を書いたかよりも誰が書いたか
これは納得できる人も多いのではないでしょうか。同じ題材であっても記事の書き方は人によってまったく異なります。その人の個性があらわれた文章はおもしろいものです。そして、そういう人が書いた文章はもっと読んでみたいと思うのではないでしょうか。
僕がよく読んでいるブログも、ブロガーさんが書く文章に個性があり、おもしろいものが多いです。また、そういうブログは検索からではなく、何かのきっかけでそのブログを知り読むことになったものがほとんどです。
まさにこういった文章は、Googleに頼らない文章と言えるでしょう。
感動が中心になければ書く意味がない
文章はもちろん読者の人に役に立つ情報を伝えるという目的もありますが、書きたいことを熱意を持って書くほうが文章にも熱がこもって、読み手に対しても面白みが増すものです。
特にブログは自分の好きなことを書けるので、自分が伝えたいことを熱意を持って書いている人が多いのではないでしょうか。
結局、文章は書く人の熱がこもっていないと読む人もつまらなくなってしまうものです。
だから、文章を書く際にはある事象に対して感動したことをしっかり伝えるということが大事なのですね。
文字がそこへ連れてゆく
自分がおもしろいと思って書いた文章を誰かが読み、それに対して好意を持ってくれ、コメントなどにそのことを書いてもらえるとうれしいものです。
そして、好意を持ってくれた誰かとつながりができ、さらにその人が自分のことを誰かに紹介し、新たなつながりができていく。さらにつながりができた誰かからお呼びがかかり、新たに文章を書くことになる。そして、これが続いていく。
こうなれば、本当に文章を書く上で最高のことではないでしょうか。
そういう意味で、この小見出しは僕の一つの目標にしたいものです。
おわりに 〜 文章術として究極の方法ではないか?
この記事では田中 泰延さん著『読みたいことを、書けばいい』を紹介してきました。
冒頭にも書いてきたように、この本にはこれまでの文章術の本に書かれているような分かりやすく伝える書き方や、バズりやすい書き方などはまったく書かれていません。なので、SEOを意識した文章を書きたいという人にはこの本はふさわしくないかもしれません。
ただ、SEOを意識しない、もっと自分らしい文章を書きたいという人には、とてもオススメしたい本です。
なにより大事なのは、「まず自分が読んでおもしろいと思える」こと。そして、そのためにはどうしたらいのかということはきちんと書かれています。
これはまさに究極の文術術ではないかと思うのです。だって、文章を書くのは自分なので、まず自分が楽しまないと疲れるだけですからね。
この本を読めば、自分が楽しい文章、そしてみんなにも楽しんでもらえる文章がきっと書けるようになることでしょう。
あっ、でも最後にたくさんの人に読んでもらえ、Web上やSNSでバズり、内容が効率よく人に届き、とてもおもしろく、わかりやすい文章を簡単に書く方法が紹介されていました!
最後にその言葉を引用して終わりにします。
そんな物はない(横山光輝『三国志』〜 関羽の言葉)
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