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『文芸オタクの私が教えるバズる文章教室』by 三宅 香帆 〜 個性的でシェアしたい!と思わせる文章の書き方が学べる一冊【ブック・書評】

今回紹介する本は、三宅 香帆さん著『文芸オタクの私が教えるバズる文章教室』です。

この本のタイトルのなかに「バズる」とありますが、決して炎上を狙った文章術を教える本ではありません。

では、どんな文章術か?

それは、読んで”シェアしたい!”と思ってもらえる文章を書く文章術です。

これまでのネット上での文章の書き方とは一線を画するものかもしれません。Googleなどの検索エンジンに頼らない文章術とも言えるでしょう。

この文章術がネット上の記事を書く上で必ずしも最適だとは言えません。ただ、自分が書いた個性的で魅力的な文章で、自分の文章に対するファンを作りたいと思っている人にはオススメの本です。

そんな『文芸オタクの私が教えるバズる文章教室』を紹介していきます!

『文芸オタクの私が教えるバズる文章教室』 〜 著者紹介

あらためて今回紹介するのはこちらの本です。

著者である三宅 香帆さんは1994年生まれの文筆家、評論家です。京都大学の博士前期課程を修了し、天狼院書店の元店長でもあります。

2016年に書いた記事『京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う本ベスト20を選んでみた。《リーディング・ハイ》』がバズり、2016年の年間総合はてなブックマーク数ランキングで第2位になったこともある方です。

この本では、自ら文芸オタクと名乗るほど本を読んできた三宅さんが、これまで読んだ本の中からバズる(面白い!と思わせる)文章の特徴を研究しモデルとしてまとめ、僕らでもそんな文章が書ける方法を紹介しています。

『文芸オタクの私が教えるバズる文章教室』 〜 オススメしたい人

この本は文章術に関する本ですが、文章を書いている人の中でも特に次のような人にオススメです。

  1. ”この人の文章いいな”と思ってもらえる個性的で魅力的な文章を書きたい人
  2. ネット検索上位を狙うような文章の書き方に疲れた人
  3. 自分の魅力的な文章でバズらせたいと思っている人

バズる文章術とは?

この本は冒頭にも書いたように、ネットでの炎上を狙った文章術を教えるものではありません。

でも、魅力的で読者を惹きこませる文章を書くことにより、バズることを狙った文章術です。

それは、タイトルに「文芸オタク」とあるように文芸好きな著者の三宅さんが小説やエッセイなどから見出した魅力的な文章の書き方です。

なので、ネット上で検索上位を狙った文章術とは異なります。そういった文章の書き方を学びたいのであれば、他の本を読んだ方がいいでしょう。

しかし、文章で引き込ませる、魅力的だと思わせる文章を書きたいという人にはうってつけの本です。

この本は次の4つの章で構成されています。

  • Chapter1 バズるつかみ
  • Chapter2 バズる文体
  • Chapter3 バズる組み立て
  • Chapter4 バズる言葉選び

それぞれの章では、各文芸作家さん(一部異なる人もいます)の文章をモデルにして、バズる文章、引き込ませる文章とはどういったものか紹介され、それをもとに実際に書くときのポイントが一節ごとにまとめられています。

紹介されている作家さんを抜粋すると……

しいたけ.星野源、佐々木俊尚、村田喜代子、森鴎外、北原白秋、山崎ナオコーラ、村上春樹、かっぴー、林真理子、綿矢りさ、三浦しをん、向田邦子、井上都、恩田陸、橋田治、上橋菜穂子、永麻理、開高健、司馬遼太郎、三島由紀夫、谷崎潤一郎、柴原明子、秋元康、江戸小噺、高田明、さくらももこ、こんまり、斎藤孝、上野千鶴子、塩谷舞、有川浩、藤崎彩織、武田砂鉄、山極寿一、岸政彦、瀧本哲史、俵万智、松井玲奈、J・K・ローリング、阿川佐和子、宮藤官九郎、よしもとばなな、山田ズーニー、岡本かの子、ナンシー関、又吉直樹

という、ベストセラー作家から作詞家、演出家、はたまたシンガーソングライターや占い師まで蒼々たる方々。

とにかく、ここまでよく研究したなという感じです(笑)。

でも、それだけにバズる(個性的で魅力的な)文章の書き方がたくさんまとめられています。

ここからは、この本のポイントを自分なりにまとめてみました。

そもそも”バズる”とは?

”バズる”という言葉、みなさんも一度は聞いたことがあることでしょう。

”バズる”とはネット上でよく使われる言葉で、「記事などが爆発的に広まること」「たくさんの人に認知されること」を意味します。

ただ、バズらせる方法にも大きく2つのパターンがあります。

一つは、過激な発信をして炎上を狙うパターン。意図的にそういう発信をして炎上させバズらせるのです。有名なブロガーさんの中にもこの方法を使っている人がいますが、批判を浴びたり印象を悪くしたりする恐れもあるので、オススメできる方法ではありません。

そしてもう一つが、読者が発信した内容に対して感動したり共感したりして、シェアして拡散されていくパターンです。これはあまり意図的にできる方法ではありません。いくら自分が面白く書けたと思った記事でも、他の人にとってはそうでないことも多いからです。

ただ、記事を発信していくうちに誰かの目に止まって、自分の文章に興味を持ってもらえることがあります。そうなると、その人は自分の文章の1ファンになってくれるかもしれないのです。そして、その人からさらにたくさんの人に拡散されていく(バスる)という現象が起こっていくのです。

この本では、そういった誰かの目に止まってもらえるような文章の書き方が紹介されています。

具体的には、この本の「はじめに」のところに、

この本の目的は、

1、(文章の終わりまで読もうかな)と思ってもらう。
2、(この人いいな)と思ってもらう。
3、(広めたいな)と思ってもらう。

こんな文章を書けるようになることです。

と紹介されています。

この本を読んですぐにバズる文章が書けるわけではありませんが、本で紹介されているモデルを真似て文章を書いているうちに、誰かの目に止まり、ファンができ、バズるという現象が起こるかもしれません。

『文芸オタクの私が教えるバズる文章教室』 〜 本の構成

先ほど紹介したように、この本には多くの作家さんのバズる文章モデルが紹介されています。

一節ごとにある作家さんの作品の文章の一部が紹介され、そのあと三宅さんがどのようなモデルになっているのか説明していきます。

そして節の最後には、読者の人もその文章モデルを真似できるように、書き方がまとめられています。

三宅さんの説明はとても分かりやすく納得させられるものばかりです。よくもまあここまで研究したなという感じです。

紹介されているモデルは素人の人でも活用できるのか?

分かりやすく書かれているといっても、紹介されているモデルはベストセラー作家さんなどが書いている文章から導き出されたもの。

そう簡単に素人の僕たちが簡単に真似できるものだろうかと思っている人もいるかもしれませんね。

そんな人に向けて、この本の中で紹介されているモデルの一つを紹介しましょう。

「Chapter2 バズる文体」の中に「語尾をぶった切る」というモデルが紹介されています。

このモデルは、2004年に『蹴りたい背中』 (河出文庫)で芥川賞を受賞した綿矢りささんの作品『亜美ちゃんは美人』『かわいそうだね?』 (文春文庫)に収載)から導き出されたもの。

芥川賞受賞の作家さんだったらさぞかし難しいのでは?と思ってしまうものですが……

このモデル紹介の最後では次のようにまとめられています。

1、 まずは大人語で言葉にする。
亜美ちゃんが、さかきちゃんより美人だというのは、明白な事実である。

2、 子どもっぽく、体言止めで言い換える。
亜美ちゃんは美人。さかきちゃんよりも美人。明白な事実。

3、子どもっぽい感情(マウント)で言い換える。
さかきちゃんは美人。でも亜美ちゃんはもっと美人。明白な事実。

これなら、意外と簡単に書けそうじゃないですか?

もちろん、紹介されているモデルの中には素人が真似するのはちょっと難しいのでは?と思われるモデルもあります。

でも、全体的に素人の人でも活用しやすいモデルとなっています。

とはいえ、すぐには身につかないでしょうから、活用したいモデルを頻繁に使っていくことが大事ですね。

あとがき 〜 個性的で魅力的な文章の書き方が学べる本

この記事では、三宅 香帆さん著『文芸オタクの私が教えるバズる文章教室』を紹介してきました。

紹介してきたように、この本にはこれまでのネットのための文章術(SEO)は紹介されていません。

ただ、こういった文章術に頼らず、自分の文章に魅力を持たせることによって、その文章に共感し拡散してくれる人を増やすための文章術が紹介されています。

もうネットを意識した文章を書くのは嫌だ!、もっと自分らしい魅力的な文章を書きたいという人にはオススメしたい1冊です!

今回紹介した本はこちら

 

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